boofoooohの日記

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ライアン、ポルトガルでネットを揺らす

日本のサッカー界がアジアカップで盛り上がる一方で、田中順也の活躍が話題を集めてますね。昨年は移籍先のスポルティング・リスボンで殆ど出場の機会がなかったんですが、ここにきてカップ戦での活躍と、短い出場時間ながらリーグ戦でも大事な局面でゴールを決めて一気に注目を集めました。

彼は柏時代も調子良いときはまとめて点を取ってた印象があります。ポルトガルはこのTJが活躍してるタッサ・ダ・リーガ(日本でいうとナビスコ)というリーグカップと、タッサ・デ・ポルトガル(同じく天皇杯)というカップ戦がありまして、リーグ戦と合わせると結構ハードな日程になってます。そこで回ってきた出番を逃さず、さらにはリーグ戦でも活躍する勝負強さ。コンディションを落とさないよう、かなりな努力が必要だったと思うんですが、それが報われた結果だとしたら素晴らしいですね。

 

そんなことを思いながら、TJのリーグ戦2ゴール目の動画を見ていたら、おお?この駆け寄ってくる細いシルエットは、ひょっとしてライアン?私が1年前から注目していた(→ライアン・ゴールドに注目! - boofoooohの日記)ライアン・ゴールドじゃないか!

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注 動画ではありません…。動画ガンガン削除されてるんで今回貼りませんでした。クラブのサイトSporting Clube de Portugalでどうぞ。

ライアンはこの日がリーグ戦デビューでした。TJと同じくして昨夏スポルティングに入った(加入時の様子はこちら→頑張れライアン(とTJ) - boofoooohの日記)んですが、まだ18歳(当時)だったんで、スコットランドでの実績はあったものの、Bチームでじっくり育てようという方針だったようです。リーグ戦始まるまではトップチームで試合出てたTJとは扱いが違ったんですね。しかし、ナニがマンUから出戻ったこともあり、TJもその後トップチームでは活躍の場がありませんでしたが。

ライアンは昨年10月にユーロ予選でフル代表に初選出されてます。ベンチには入れなかったんですが、これはストラカンが経験を積ませるために呼んだようです。ワクワクしながらスタメンの発表待ってて、がっかりしたんですが、まだ10代ですからね。呼ばれただけでも凄いし、相当期待されてるんですよ、本国でも。

そんなんで活躍はまだ先かなーと思っていた矢先、いつの間にかのリーグ戦出場。しかも同期のTJと抱き合って喜ぶ姿に目頭が熱くなりました。

 

調べてみると、その前のカップ戦、TJのPKはライアンがGKに倒されたものじゃないですか。2人とも先発出場していて、ライアンはMOMにも選ばれてます。

そして、実は昨年末にカップ戦でトップチームデビュー、しかもフル出場していたんですよ。結構インパクトあったようで、地元サッカー紙の1面を飾り、本国でもリーグ戦デビューと併せ、ニュースになってました。


Ryan Gauld stars on his league debut for Sporting Lisbon - Daily Record

 

http://i1.dailyrecord.co.uk/incoming/article5008511.ece/binary/B7yG74PIEAAgzll.jpg

Real Portuguese read the Record ... the Scots star made the front page in Portugal under the headline "Gauld learns quickly"って嬉しげに引用してます。

良く海外のクラブに所属する日本人選手の報道を、大袈裟に騒いで恥ずかしいなんて話になるじゃないですか。スコットランドも一緒だったんですね。
リーグ戦で3点目に絡んだときに股抜きしてナニにパスしたんですが、デビュー戦で股抜きで起点ってそれだけで大騒ぎですよ。

Watch as Ryan Gauld makes dream Sporting Lisbon debut nutmegging player in build up to goal - Through the Turnstile / Sport / The Evening Telegraph

 

そして今朝入ったニュースで、カップ戦ですが今度はとうとうゴールを決めたというではないですか!試合は負けましたが2得点の活躍で、クラブの公式サイトのトップにインタビューが出てます。'i am really happy'って。(良かったね)
1点目はTJのアシスト、2点目は得意の左足とは逆の右足での素晴らしいボレーでした。

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もちろん本国でもニュース。

予想外に早く結果出してる!嬉しくて思わず平日にブログを更新してしまいました。これからTJとともに、リーグ戦、そして来シーズンこそCLに出てもらいたいです。代表で見れるのもきっとすぐ先のことでしょう。楽しみですね。

 

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髪型なんとかした方が良いと思うぞ。

 

風邪にマリア・マルダー

インフルエンザに罹患しました。

ブログの更新をしていないのは、だからというわけではなく、今年はちょっと緩やかにいこうかなと思ったからなんですが、本当は今日あたり更新しようと思ってたのが果たせなかったのは、インフルのせいでもあり、とりあえず動画でも貼っておこうかなと思った次第です。

年末、病床に臥せっていた私を励ましてくれた、マリア・マルダーです。

maria muldaur 'midnight at the oasis'

ネットでブルースのラジオ聴いてたらずっとかかってたのが気に入って、彼女のソロ1枚目に辿り着きました。この曲はブルースじゃないですけど。

まあ、聴いたら治ったってわけでもないんですが…。

 

ソウル・ミュージックを学ぶ

あけましておめでとうございます。

というより明日から仕事なんで全然めでたい気分じゃないですね…。連休の最終日をいかがお過ごしですか?とりあえず今年もよろしくお願いします。

私は年末にひいた風邪をずっと引き摺ってしまったおかげで、ためこんだ本やら映画やらを消費することができました。そこで思ったことをひとつ。

 

ジェリー・ウェクスラーの「私はリズム&ブルースを創った」を読んだんですよ。ジェリー・ウェクスラーは、アトランティック・レコードというアメリカのレコード会社の経営者で数々の素晴らしいレコードのプロデューサーだったんですが、その彼の自伝です。

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ジェリー・ウェクスラーのモーレツぶりが激しく伝わってくる!

 

アトランティックの本といえば、同じく経営者だったアーメット・アーティガンを中心に描いた「アトランティック・レコード物語」も面白い本でした。アトランティックはリズム&ブルース専門だったのが、次第にストーンズツェッペリン等を手がけるようになっていくのですが、どちらの本も印象に残るのは、50年代から60年代にかけて、レイ・チャールズドリフターズアレサ・フランクリンオーティス・レディングが登場し、アトランティックに素晴らしい録音を残す時代の話でしょう。特にソウル好きの人にとっては。

私も好きなんで、このタイトルでこの著者の自伝なんで手に取って、大変面白かったわけですが、たまたまそのとき映画の「ブルース・ブラザース」がhuluにあるのを発見して、並行して喜んで観ててですね、そういえば自分はどうしていわゆるソウル・ミュージックを聴くようになったのか、ふと思ったんですよ。

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しかしほかに観なきゃいけないもんが溜まってるのになぜまた観てしまうのか…。

 

なぜかというと、「ブルース・ブラザース」を最初観たときはあんま面白くなかったんですね。中学1年生だったでしょうか、テレビで観て。それはこの映画がソウル・ミュージックへの深い愛が込められていたにもかかわらず、好きじゃなかったんです。その手の音楽が。

当時私は年齢相応に、カッコ良さげなPVの、ニューウェイブのバンドやらトップ40ものやらの流行りの音楽を聴いてたわけです。楽器が上手いとかよりも、斬新かどうかが重要で、そのためにはむしろ楽器が下手な方がいいくらいに思ってました。パンクやイギリスのインディーズ系の音楽が好きだった人は、そういう傾向が強いんじゃないでしょうか。

一方でアメリカのメインストリームの音楽はハードロックのバンドが幅を利かせ、ライオネル・リッチーが全盛で、マイコーはスリラーの頃でした。古き良きソウル・ミュージックはそれ以前からディスコミュージックに押されてしまったんですが、ディスコが下火になってからも再評価されることなく、アレサなんかの大御所も時代に合わせようとして、逆に場違いな感じになってました。

もう数年経つと、CD化による名盤復活と、ヒップホップの隆盛と連動してレア・グルーヴが流行って昔のソウル・ミュージックが再評価されるんですけどね。80年代前半のこの時期が、ソウルを含め70年代以前の音楽が最も評価されていなかったように思います。長髪(アフロ含む)、ベルボトム、デカいサングラスが最も格好悪かった時代といいましょうか。

 

しかしですね、ミュージシャンのインタビューを読んだり、音楽雑誌の記事を読んだりすると、次第にそのルーツであるR&Bやブルースに対する敬意に感化されるようになってくるんですね。そしてミュージシャン以上に日本でその影響が大きかったのは、ピーター・バラカンだったと思います。

彼は一方で「ポッパーズMTV」という最近の音楽のPVを流す番組をやりつつ、一方でその番組内や自分のラジオ番組で古今のソウル・ミュージックを地道に紹介し続けました。前述したような溝ができた、日本におけるニューウェイブ好きとソウル・ミュージックの架け橋的な存在だったといってもいいくらいです。

その試みが成果物となったのが、「魂のゆくえ」です。

 

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新潮文庫版の方が装丁好きだったな…。

素人に分かりやすく、かつ網羅的に書かれたソウル・ミュージック入門の好書です。ここから何枚のCDを買ったことか。前述のアトランティックのCDもこれから買いました。ピーター・バラカンが良いって言ってんだから聴いてみるか、といった信頼感の後押しもあって。

 

ということでようやくその格好良さが分かってきて、改めて観た「ブルース・ブラザース」の素晴らしさを理解できるようになったんですが、ここに至るまでに、どうしてこんな時間がかかったのか、それが引っかかるんですね。

ロックは最初から好きで、そのルーツ・ミュージックじゃないですか、ブルースやR&Bは。お前の感性が鈍いからだと言われればそれまでなんですが、私と同じような境遇の人結構いると思うんですよ。

時代的にニューウェイブ全盛の頃に洋楽を聴き始めて、それが基準になったからだと思います。パンク・ニューウェイブは70年代のロックに対する反動だったんですが、一部スカやレゲエ、モッズ経由でのソウルへの接近はあったものの、ルーツに回帰しようとはしませんでした(でもそこが良かったんですよ)。よって、ロック、パンク・ニューウェイブという2つのクッションに挟まれて、ソウルの良さが分かりづらくなったのではないでしょうか。

本国アメリカなんて過去は振り返らないですからね。私が高校生のときは若者はヘビメタかラップ、R&Bチャートはブラコンが主流で、ルーツに遡ろうなんて気にはなりづらかったです。ヒップホップのおかげで昔のソウルのレコードの再評価に繋がっていく過程ではあったんですが。

なにより、ニューウェイブ好きはジーッと音楽聴くのもあるかなと。下手すると正座したり、膝を抱えながら聴いたりして…。だって、ディスコって凄くダサく見えたんですよ。

音楽聴いて踊るって感覚がないと、ソウルの良さは分からないですよね。個人的にはギターを弾くようになって、リズムに対して意識的になったことで、この辺変わっていけたのもあると思います。レア・グルーヴ以降の世代の人たちはその点いいですよね。

 

踊れる音楽の素晴らしさを、お勉強しないと分からないというのはおかしなものですが、音楽聴くってそういうことも必要なんだと思います。この映画も、すでにソウル・ミュージックが衰退した時代の話で、バンド仲間も足洗ったりしてるんですが、ゴスペル、カントリー、ブルース、R&Bと、ソウル・ミュージックのルーツを辿っていきつつ、最後はステージでみんなを踊らすという筋が分かるようになると俄然面白くなるんで、未見の方は観たり聴いたりして楽しんでください。

 

ということでソウル・ミュージックとブルース・ブラザースの素晴らしさが良く分かる動画をご紹介。まずは映画のシーン。歌うはレイ・チャールズ

'thinking 'bout something' hanson そして愛溢れるパロディ演じるは、キミは憶えているか!'mmmbop'のハンソン。カッコいい!

 

do you remember the first time? 20年前のプレミア初観戦の記憶をたどる

年の瀬ですね。暮れの忙しいなか、風邪をひきました。

休みの間に身体を鍛えようと思っていたんですが…。しかし、こういうときこそと、前からやろうやろうと思っていたことに遂に手を着けました。

 

初めてサッカー観に行ったときのこと、覚えてます?

私の場合はですね、W杯とかはテレビで見つつも、さほどサッカーに興味はなかったんで、サッカー好きの友人と行ったヨーロッパへの卒業旅行の道中で、ようやくその機会が訪れました。

旅行の行き先はパリとロンドン。20年前の当時、フランスのクラブやリーグ・アンの情報なんて殆どないんで、友人が狙いを付けたのは、カップ・ウィナーズ・カップの準々決勝、パリ・サンジェルマンレアル・マドリード戦でした。

カップ・ウィナーズ・カップは大分前に無くなっちゃいましたけど、UEFA各国のカップ戦優勝クラブが集う国際大会です。場所は怪しげな森ブーローニュの外れパルク・ド・プランス、アウェイで勝ったPSGがレアルを迎え撃つということで盛り上がっており、現地に着いてからチケットを調達しようとしても、まるで手に入らなかったんで、結局ダフ屋から買うことに。

 

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発券システムのあるレストランで店主とグルになってたダフ屋から。400フランで。

 

初心者にはもったいない試合でした。ビハインドのアウェイチームが攻撃的に出て追い付く手に汗握る展開。PSGはウェア、ジノラに今オマーン代表監督やってるルグエン、レアルはイエロにルイス・エンリケサモラーノに、ゴールを決めたのはブトラゲーニョという豪華さだったんですが、当時の私は1人も知りませんでした。パスの軌道が奇麗なのと、クリアを外に出さないなーくらいの感想しかなかったです。

それよりも周りに圧倒されました。以前も書いたんですけど間違えて危険地帯に入っちゃいまして、発煙筒の煙のなか、ガラの悪い連中がウロウロ(ウロウロしてないのもガラ悪いんですけどね)してて、本気かふざけてんのかどつき合いして、倒れた方が傾斜のキツい観客席を人をなぎ倒しながら落ちていくのを見て、震えました。

一般席もあんま上品な人いませんでしたけどね。女子率皆無でしたし。1−1の引き分けで勝ち抜けて、熱く盛り上がった夜でした。私は雰囲気を楽しんだ程度でしたが…。

 

あるんだ動画…。クラブの大層なアーカイブがありましたよ。しっかし盛り上がってる。

 

で、何が遂に手を着けたかというとですね、この試合でなくて、次に観た試合です。

ドーバーを渡ってロンドンに着いた我々、というか友人がまずしたことは、プレミアリーグのチケットを買うこと。でもやっぱり人気カードのチケットはないんですね。私唯一知っていたギグスが見たくて、友人もマンU見たかったらしいんですが、駅のチケットガイドがダメ、怪しげなチケットショップに片っ端から電話したりもしたんですが、これもダメ。

やむなく、地元ロンドンのクラブの試合を見ることにしたんですが、私には聞いたことないクラブで、友人いわく、野球でいうなら近鉄−ロッテ戦みたいなもんだよ、と。

試合は昼に行われ、地下鉄の駅からスタジアムまでの道に屋台が立ち並び、親子連れも多く見かけ、馬に乗った警官が観客を蹴散らさんばかりだったパリとは大違いなのんびりした雰囲気。ゴール裏でずっと立ってましたが、それも大した苦にならず、ピッチが近いスタジアムを堪能して宿に帰ったのですが、チケットを失くしてしまったので、後日どこのクラブか分かんなくなっちゃったんですよ。

数年後、友人に会ったときに訊いてもやはり忘れちゃってました。以来、ずっと自分はプレミア初観戦でどのクラブの試合を観たのか謎でした。

当時はなす術もなく、ネットが使えるようになってからようやく調べてみたんですが、ロンドンのクラブがいっぱいあって分からないままで、これは時間をかけて調べるしかない、けど面倒くさい、ということで今日まで放っといたというわけです。

はっきり覚えているのは、ロンドンで地下鉄に乗って行ったこと。降車駅は、路線図でいうと右側だったこと。ゴール裏の屋根の形とスタンドが赤っぽかったこと。これぐらいです。

 

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どこだ!

 

93/94シーズン、プレミア在籍のロンドンのクラブはアーセナルウィンブルドン、QPR、ウェストハムトットナムチェルシーです。そして当日、ホームで試合があったのはQPRとウィンブルドンの一応ロンドンダービー、ウェストハムトットナムだったということは、プレミアのウェブサイトであっさり分かりました。各節の結果も出場選手もスタジアムも直ぐ分かる。素晴らしい。

QPRのロフタスロード、ウェストハムのブーリングラウンド、トットナムホワイトハートレインの画像を検索するとですね、色からしてもうブーリングラウンド一択なんですが、ゴール裏の屋根の形も記憶と一致。アップトンパーク駅も路線図の右。間違いない。

 

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 そうそうここと思ってたら、そういえばウェストハム移転しちゃうんですよね…。

 

そして、PSGの動画もあったことだしと思って試しに検索したら、驚いたことに動画ありました。なんか強い黒人のFWいたな、という記憶があって、そいつがポストプレーで強めのボールを受けて、素早く反転してパス出してゴールに繋がったのを何となく覚えてたんですが、当時ニューキャッスルにいたアンディ・コールだったんですね…。

 

 

 PSGの試合の動画が上がってたのは国際試合だからまだわかるんですけど、こっちのはびっくりしました。おかげでそういえばホームのクラブかなりやられてたこととか、パリでの熱気と違ってとぼとぼと帰路に着くサポーターの雰囲気が思い出されました。

 

ということで2時間ほどで20年来の疑問が解消されたわけですが、果たしてこれがJリーグだったら、ここまで直ぐに分かるのかなとも思いました。試合の内容、データ、当時の写真など、この頃ちょうど始まったJリーグのものって、どれくらい入手できるんだろうと。試しにJ初観戦のフロンターレコンサドーレ(監督岡ちゃん)戦調べてみたんですが、うーん。イギリスのサッカー愛のおかげでスッキリしながら、ちょっと差を感じた気がします。

 

 かなり忘れてた。

個サルとFリーグ見て我が振り直せず

1月以上前ですが、「下手な人を見たら自分も下手になったエキスパート」ってダーツの上級者に下手な人のプレーを予測できるようになるまで繰り返し見せると、下手になるって研究結果の記事が出てましたよね。下手なプレーを見るだけで下手になると短絡的にいってるわけではなく、じゃあ上手くなるためにどうしろってのもこの結果だけではなんとも言えないんですが、上手い人のプレーが多いに参考になるのは確かです。

 

前回、人が少なくなったって話をしましたが、Fリーグが横浜でセントラル開催したのに乗じて、試合観戦→フットサル→忘年会という企画を催したら結構人が集まりまして、久々にチームで楽しい1日を過ごせました。

ところでFリーグ、観に行ってます?リーグ創設当初やリカルジーニョがいる間は観に行ったけど…って人多いんじゃないでしょうか。この日は客の入りが寂しい感じでしたが、土曜日の第1試合、大分と大阪の熱い良い試合でしたよ。

 

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開場30分前でこんな感じ。ガラガラ持ってる人は地方から来られたサポーターでしょうか。頭が下がります

 

おかげで間近でじっくり観れましたが。私は試合前のアップのときから凝視してるんですが、蹴るときの姿勢や身体の使い方なんか改めて参考になります。

 

参考になるといえばですね、こないだ初めて個サルに行ってきたんですよ。少人数で同じメンツとやってるとゲーム勘が無くなっちゃうんで。初めて参加するとなると、気になるのはレベルですよね。平日夜中、レベルの指定は特になく、予約するときに訊いたら、その日の集まりで違うけど、初心者さんからいますよってことなので行ってみました。

やられた。初心者なんかいやしねえ。都心でリーマンが会社帰りに寄れるとこならともかく、ベッドタウンのコートに寒い中集まってくるのは好き者しかいないです。しかも若い。完全に浮きまくりましたが、おかげで良い勉強になりました。

やっぱりですね、止める蹴るは大事です。素早く思ったところに蹴れるか、マークする相手、ボールの質に合わせてトラップができるか。フェイントや小技も繰り出されてましたけど、強くて速いパスがどんどん繋がるのが印象的でした。それを一緒にプレーしながら、具体的にボールを受ける前の動作や、身体の向き、トラップする場所なんか見て、ああ自分とは違うなあと、こうやれば良いのかと実感します。

 

大分−大阪の試合は両チームともハイプレスがかかるので、ボールを持ったときの余裕がありません。そんな中、簡単にはボールを取られない身体の入れ方、キープしてからの素早い動作、そして味方への正確なパスには、参考というか刺激になりました。生観戦だから見えるというか、感じる部分があるんですね。

で、さんざん目に焼き付けて、いざ自分達でやろうとすると、これが上手くいかないんですけどね、やっぱり。いきなりできるわけない。その後のフットサルは結局いつもどおりなプレーになってしまいました。Fリーガーが1人いれば違いましたかね…。ですが、それっぽくやろうとしているところも感じられて、まあ少しでも近づいていければと、何人かでそんな話をしたおかげで、お酒が美味しかったです。

 

「〜みたいになりたい」で思い出したのがこれでした。

「ディーバ」を観て、聴く

こないだWOWOWレオス・カラックスの作品がいっぱいやってるなと思ったら、昨年日本で公開された「ホーリー・モーターズ」を放映するからだったんですね。

一つ前の「ポーラX」はかなり前のめりで観に行ったんですが、今度の作品はこれでやっと知りました。私がボーッとしてたとは思うんですが、でも公開当時、レオス・カラックスの新作にしては地味なプロモーションだったんじゃないでしょうか。

カラックスの「ポンヌフの恋人」が公開された頃は、フランス映画がブイブイいってた気がしますが、最近は当時公開されてた作品の再発とかリバイバルとかもなく寂しいなと思ってたところです。カラックスはブルーレイで初期の作品が再発されるんで、まあ良かったなあと思いましたが、ジャン−ジャック・ベネックスの「ディーバ」のブルーレイ再発はないんですね。ということで「ディーバ」を応援したいなと思いまして、今回は「ディーバ」のお話です。

 

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映画館で観たのはインテグラルでした。「フレンチ」が流行りだった末期ですかね…。

 

「ディーバ」は、80年代初頭に作られたフランスの映画です。物語は、オペラ好きの主人公が、決して録音はしない女性歌手のリサイタルを隠し録りしたテープ(80年代ですから)と、偶然主人公のバイクに隠された売春組織の告発テープをめぐるサスペンスです。

主人公は2本のテープと命を狙われつつ、憧れの歌手と段々お近づきになっていき、ハラハラドキドキの展開をしていきます。

監督のベネックスは、のちに日本に来て「OTAKU」というドキュメンタリーを撮っていて、自分もこの主人公もオタクだと語ってます。確かに主人公の青年は、生活感のない、好きなものに囲まれたロフトでオペラを聴くのだけが楽しみなんですが、いわゆるオタクと違って圧倒的にオシャレです。オシャレなオタクというと、せいぜいちょっとカッコ良くなったジャック・ブラックあたりを想像するかもしれませんが、全然違います。

オシャレというか趣味が良いんですよね。それはこの映画全般にいえることで、小道具や登場人物のキャラクターも魅力的です。それらが素晴らしい映像美に彩られ、特に主人公と歌手がデートする明け方のチュィルリー庭園はため息が出ます。これ観てパリに行った人がいるに違いありません(私です。)。

しかし、何といっても最初に印象に残るのは冒頭のリサイタルのシーンだと思います。

"la wally :ebben ne andro lontana" wilhelmenia wiggins fernandez

ヴィルヘルメニア・フェルナンデスが演じるシンシア・ホーキンスという歌手が歌うこの素晴らしい曲は、おそらくこの映画によって、オペラを聴かない人にも知られるようになったのではないでしょうか。

普段ポップスを聴く人は、なかなかクラシックに触れる機会はないですが、そんな人こそ惹き付けられるようなシーンです。

この映画はサントラもなかなか出来が良くて、場面を盛り上げるようないかにもサスペンス風な曲と、このアリアやシンシアが練習で歌うアベマリアなんかが混在しているんですが、不自然な感じなく溶け込んでいます。

チュイルリー庭園のシーンに流れる曲もまた良いです。

 主人公が危なくなると謎の芸術家が助けたりして、かなり御都合主義的なところもあるんですが、リシャール・ボーランジェ演じるその芸術家がなかなか良い味出してて、あまり気になりません。というかむしろカッコいい。

シンシアの歌を録音したテープを聴かされて、イントロクイズのように「ラ・ワリー、シンシア・ホーキンス。彼女の録音は存在しないはずなのに…」と、一発で当てるシーンに当時高校生だった私は痺れました。

御都合主義と書きましたが、これだけセンスが良かったりすると、物語もヒネってしまってなんだか分からん話になってしまいがちなところを、あー面白かったと思えるよう上手くまとめているといった方が良いかもしれませんね。

 

ジャン−ジャック・ベネックスはこの後、「ベティー・ブルー」を撮っていて、むしろそっちの方が有名かもしれません。私は断然こっちのが好きですけどね。未見の方はぜひご覧になってください。

 

 好きな映画って何?と訊かれたらこれだと即答してました。

 

 

 

 

 

詩と科学の交わるところ 高野文子「ドミトリーともきんす」

今、ファラデーの「ロウソクの科学」を読んでいるんですが、昔途中で放り投げたくせに、面白いです。それというのも、高野文子の「ドミトリーともきんす」が大きかったと思います。

 

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「ドミトリーともきんす」高野文子

以前書きました黄色い本(「本を読むということ 高野文子「黄色い本」」)の高野文子のちょっと前の新作です。

手に取ったところ、あまり動きを感じさせない、その代わりにデザイン性の高い絵が目につきます。「うぬう相変わらずオシャレだなあ」と思ったんですが、驚いたことに彼女は、「絵を、気持ちを込めずに描くけいこをしました」とあとがきで述べています。

語り口や画風に独自なスタイルを持ち、読む者を惹き付けてやまない彼女の作品ですが、この作品は、編集者が持っていた自然科学の本に触発され、それらを紹介する目的で描かれたものです。

小説とは違い、自然科学の本の「乾いた涼しい風が吹いてくる」読後感が気に入り、この作品は、漫画を描くときに、まず一番にある自分の気持ちを、「見えないところに仕舞い」、そうやって、紹介する本について「静かに伝える」ことに務めたようです。

んがしかし。科学者たちの言葉は単に紹介されるのではなく、その言葉やそれが指す現象をもとにした、ちょっと不思議な物語となって表れます。そこに登場する朝永振一郎牧野富太郎たちのキャラクターは魅力的に描かれ、それらに対する高野文子の愛情が良く伝わってきます。

 

「ともきんす」の語源にもなっているジョージ・ガモフの「トムキンスの冒険」だけ読んでみたのですが、取扱う分野は相対性理論から原子の構造、DNAからコンピューターまで幅広くカバーしています。科学に興味あるけど話が難しくなるとすぐ寝ちゃう中年のトムキンスさんが、夢の中で宇宙の膨張と収縮を経験したり、自分の身体の中を巡ってDNAを見てきたり、コンピューターと話をしたりするんですが、必ずガイド役がいて、トムキンスはホームズでいうところのワトソン君のような道化回りで読者の代わりとなって、門外漢な質問をしつつ、講釈を受けます。

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ともきんす紹介遅れたのは、トムキンスを読むのに時間が掛かったからです!

 

「ともきんす」のプロローグの元ネタは、膨張する宇宙の中で飛ばされた手帳が再び戻ってくる話です。トムキンスさんは収縮する宇宙の暑さの中でもがき苦しみながら目を覚ましますが。

相対性理論宇宙論のとこは純文系の私にはちょっと難しかったですが、遺伝子や進化論のとこは話が具体的で面白く読めました。

でも高野文子は、そっちの難しい話の方が感じるものがあったんでしょうね。加えてガモフも楽譜付きで宇宙論オペラとかユニークな語り口してるのもこの辺で、量子ビリヤードなんてよく分からんけど、イメージが膨らんで面白かったです。

 

「ともきんす」は、湯川秀樹の「詩と科学」というエッセイを、「朗読」というタイトルでハイライトのように紹介しています。「バラの花の香をかぎ、美しさをたたえる気持ち」と「花の形状をしらべようとする気持ち」の間にはほとんど違いがないにもかかわらず、両者は離れてしまうが、いずれは「行きつく先も同じ」ではないかと湯川秀樹は述べています。

詩であった自分の作品を、ガモフのように科学として描いたときに、どのような世界が見えてくるのか、高野文子は掘り下げていったのだと思います。この「詩と科学」における絵は、まるで細胞のような規則的な配列のコマ割りや人物の描き方をしてるんですが、その規則性に収まらない作者の思いが、これもまた絵として現れていて、未見の方にはとにかく見ていただきたいです。

湯川秀樹のいう科学と詩が交差するところに、この作品があるとしたら、科学はなんという詩心を持っているのでしょう。彼女のいう「見えないところに仕舞」ったはずの気持が、それを全部とは言いませんが、でもすごく魅力的に描いていると思います。