boofoooohの日記

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走れ、ぶつかれ、そして泣け アトレティコ−バルセロナ観戦記

リバプールが涙を飲んでシティが笑ってプレミアは幕を閉じ、チャンピオンズリーグの決勝を来週に控えるなど、ヨーロッパのサッカーシーズンもいよいよ大詰めですね。スペインは最終節を迎え、首位アトレティコ・マドリードと勝点差3の2位バルサの直接対決。勝点が並んだ場合、直接対決の成績が優先されるので、バルサは勝てば優勝、アトレティコは引き分けでも優勝です。

アトレティコの躍進ぶりは、バルサに取って代わってヨーロッパ最強となったバイエルンからあっさりと主役の座を奪うほどのものでした。バルサとレアル2強時代のなか、低迷していたチームを、さほど経験のないシメオネがここまで強くするとは誰が予想したでしょう。

 

シメオネといえば98フランスのベッカム退場劇に象徴されるような、テクニックよりもダーティなプレイで相手を陥れる印象が強いんじゃないでしょうか。だから逆に監督に向いてるのかなと思いつつも、アトレティコのサッカーはひたすら前線からプレスを続けるアグレッシブかつ真っ直ぐなものでした。

ファルカオの後を継いで、突出した得点能力を持つストライカーとなったディエゴ・コスタと、今や最も注目されるGKの1人となったクルトゥワというスタープレイヤーもいるのですが、ほかは地味な顔触れが並びます。ファンフランとかゴディンとか見た目普通のおっさんですよ。

しかしおっさんディフェンス陣の堅実な守備と、前線の選手も守備に走る走る90分間。国内リーグのみならず、チャンピオンズリーグも破竹の勢いで強豪クラブを撃破してきました。

今シーズン、バルサから移籍してきたビジャが、バルサ時代からは考えられない献身ぶりで走ってるのを見ると、シメオネの指導力の凄さが分かります。やっぱ恐いんだろうかと思ったりもするんですが、走らねばならぬと理解させる説得力と統率力がないとできないでしょう。

 

そんなシメオネリーベルで活躍する息子がいるって知ってます?黒シャツ黒スーツがマフィアのように似合う親父がいるようには見えないちょっとイケメン風情だったんですが、

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ジオバンニ・シメオネ君、ポジションはフォワードです。

 

何を思ったか突然お笑い芸人でも躊躇するような髪型に。

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…お父さんの言うことを聞かなかった罰なのでしょうか。アトレティコの選手はこの写真を見て震えおののいたでしょう。(現在は短髪お父さん似)

 

さあ、そんなアトレティコ綺羅星のようなバルサとリーガ制覇を賭けて戦ったこの一戦。どちらのチームも優勝を目前に下位チーム相手に星を取りこぼし、調子は決して良くないようですが、アトレティコディエゴ・コスタが復帰し、激しい攻防が期待されます。

試合会場はカンプ・ノウ。赤、黄色、青のバルサカラーで染まります。観客減が報じられていましたが、さすがに満員で凄い盛り上がりです。バルサネイマールとシャビがベンチスタート。ブスケツが舵取りをします。

のっけからアトレティコは前線でボールを追います。GKへのバックパスにも食らいつきます。それでいてゴール前にバルサがボールを運んできたときには戻ってきて数的優位を作らせないばかりか、クロスを入れるスペースさえないくらいでした。

バルサダニエル・アウベスの右サイドから攻撃を仕掛け、クロスを入れるんですが飛び込んでくる選手と合ってなかったですね。アトレティコは自陣ゴール前のボールをカットし、良い感じのカウンターに入りますが、ここでディエゴ・コスタが走れなくなってしまい、交替するというアクシデント。前半まだ早い時間です。さらにセスクと接触したアルダも負傷交替し、攻撃の主力を失います。

それでも堅い守備でバルサに決定的なチャンスを作らせなかったんですが、ペナルティエリアでセスクからの浮き球をメッシが落としたところを、アレクシス・サンチェスがニアサイドをダイレクトでぶち抜き先制します。ボール1個分のコースしかなかったと思います。凄いシュートでした。

 

先制されてもアトレティコは変わった様子を見せません。この辺のメンタリティも凄いですね。コンパクトな守備陣形から、1人がプレスに行くと、相手がかわす先にもう1人がプレスに行くので、バルサはなかなかいつものようなパスが回せません。そうなると球際の奪い合いが凄いことになるんですが、ガッツンガッツン当たってました。両チームとも。

村松尚登の本に書いてあったんですが、スペインは華麗なパス回しの印象が強いんですけど、当たりがかなり激しいそうなんですね。で、それを逃げちゃならんそうです。かわしてプレイを続けられればそれはいいんでしょうけど、逃げて下がっちゃダメなんだそうですよ。

この日は思うようにボールが回せないバルサの選手でしたが、球際激しくいってました。両チームとも、絶対自分のボールにするという思いが激しく伝わってきました。アトレティコの守備陣も良かったですが、バルサも良かったです。マスチェラーノ頑張ってましたね。

 

得点源を失ったアトレティコでしたが、後半開始直後から攻勢に出ます。ダビド・ビジャのシュートはポストに弾かれましたが、CKからゴディンがヘッドで叩き込んで同点とします。バルサはやはり高さの問題がいかんともしがたいですね。

そんな影響もあってか、負傷のブスケツに代わってシャビではなくソング投入。しかし、衰えを知らないプレスにメッシが自陣ゴール前まで戻ってボールを受ける状況で、ネイマール、そしてシャビを送り込みます。

シャビが入ってからは、縦パスが入るようになって、ちょっとチャンスになりそうな感じだったんですが、ゴール前に入ってきた選手がダイレクトで軽く落としたところをシュートというような場面でも、アトレティコはしっかり人数割いてカットしてました。

一方ネイマールは全く役に立ってなかったですね。1人かわしてももう1人にボールを奪われ、何もできないどころかボール持ってから長いし守備はできないしで散々でした。

 

残り10分くらいからバルサはパワープレイ気味にピケを前線に残すんですが(ソングがCB)、セットプレイくらいしか合わせるチャンスはなく、逆に何度かカウンターを食らいます。

もうヘロヘロなのわかるんですよ。ビジャ。それでも走る。守備でも走る。残り時間少なくなっても、アトレティコは上がってキープした方が良いという場合は全体で押し上げます。

このままいくのか?いくのか?ロスタイムに突入し、バルサはGKのピントまで上がってきますが、安定した守備はそのまま。走り抜いたアトレティコが守り切りました。

 

ピッチに蹲って泣き伏すアトレティコの選手。私も涙が出ました。バルサ好きなんですが。サッカー見て泣いたの初めてです。バルサのサポーターからも拍手が贈られていました。熱く、見る者の胸に迫る素晴らしい試合でした。

録画を早朝観ていて、早速ブログを書こうと思ったんですが、走ってからにしました。見た者にまず走らねばという気にさせる、そのくらい凄い試合でした。

 

アトレティコにはチャンピオンズリーグも是非頑張ってもらいたいです。一方バルサプジョルの退団が決まり、大事な一戦でシャビがベンチと、確実に世代交代の時期を迎えていますが、今日のようにイニエスタいまいちだと攻撃のかたちが作れないのは何とかしなきゃいけませんね。ネイマールはワールドカップ手抜きでいいから来シーズン頑張れ。

 

 

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ゴディン、ニコラス・ケイジにちょっと似てる。

 

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プロレスのヒールと同じで本当は優しいに違いない。