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boofoooohの日記

サッカー/音楽/本/大人になってからのフットサル

ヴェンデラ・ヴィーダ「行く先は晴れやかに あるいは、うろ覚えの詩が世界を救う」を読む

歳のせいなのか、インターネットの影響なのか、長時間集中して何かを読んだり観たりというのが難しいこの頃です。せわしなくクリックやスワイプするように、ちょっと怠くなると本を放り出し、再生機器の停止ボタンを押し、といった具合に。

もちろん、早く先が読みたくなるような素晴らしい本がないわけではなく、ついこないだ読んだスディール・ヴェンカテッシュの「ヤバい社会学」は、社会学というより80年代アメリカの貧困地域を舞台にした優れた青春小説といった方が良く、久々に一気に読めました。

 

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装幀もっと頑張れなかったのか…。

 

その勢いのまま次に読んだのは、ユニークな邦訳タイトルが目を引く、ヴェンデラ・ヴィーダの「行く先は晴れやかに あるいは、うろ覚えの詩が世界を救う」でした。

 

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原題は'and now you can go'とストレート。

 

ニューヨークで大学院に通う21歳女子の話です。一緒に死んでくれと、見知らぬ男に公園で銃を突きつけられるところから始まります。彼女は、男の気をそらすために、必死に詩を暗誦したりして何とか難を逃れますが、その事件の影響で精神状態が不安定になり、それにつけ込もうとする男が寄ってきたりします。

この小説は、主人公の一人称で描かれていて、彼女が感じる不安や苛立ちを挟みながら、登場してくる彼氏や元カレ、友人、家族たちと会っている場面や、過去の回想で成り立っています。主人公は、勉強ができて、ルックスも良いことが示唆され、そのおかげで何人もの男が現われます。彼女は気ままに彼らと付き合い、彼女の精神状態も相俟って自由に場面が入れ替わっていくので、その後特に事件があるわけでもないのに、テンポ良く読めていけます。

彼女の精神的な不安定さは、事件のせいではなく、幼少期の体験や、彼女自身の資質のせいであることが分かってくるのですが、彼女は看護師である母親とボランティアでフィリピンに行って、白内障患者の手術をする手伝いをしたことをきっかけに、それを乗り越えていきます。

21歳女子の主観から描いた物語なので、40代半ばのおっさんからすると、なかなか共有できない部分もあるかと思いきや、最初は客観的に読みつつも、銃の男との再会の場面ではドキドキしながら読んで、ラストも感動しました。

場面の切替えのテンポが、小説というより、ちょっと映画とかTVドラマっぽいなと感じましたが、そこが読み進められた原因かもしれません。冒頭からしてちょっとオフビートな感じで、最初読んでるときはどういう小説かなと思いましたが、最後まで読むと、無駄な部分がなく、しっかりとした構成であることが分かります。

2003年邦訳の作品ですが、残念ながらヴェンデラ・ヴィーダの小説はこれ以降日本では出版されていないようです。あと2作書いてるようで、ぜひ読んでみたいです。