boofoooohの日記

サッカー/音楽/本/大人になってからのフットサル

おくやまゆか「たましいいっぱい」を読む

あっつい…。運動してるときはまだいいんですけど、そうじゃないときにじわじわ汗が出るのがなんとも不快です。涼しいもの涼しいもの…なんてときにこんな絵どうですか。

 

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atari.blog: ゆったり泳ぐ から

 

おくやまゆかのことは、何がきっかけか忘れてしまいましたが、彼女のブログに行き着いてそのユニークな絵に目が止まり、漫画や絵本を描いていることを知りました。

ブログの内容はどんぐり拾いのこととかの身の回りのことで、それも絵にマッチしてとても良かったんですが、どんなの描いてるんだろうと思っていたら作品集が出たので、遅ればせながらその本について。

 

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カバーを取るとまた楽しい。

 

月刊誌に掲載された作品集です。いろんなスタイルで描かれていて、それが模索しているのか器用なのかはちょっと分からないですが、彼女の絵のファンとしてはそれだけで楽しめます。

線が自由ですよね。特に動線がなくても動きが感じられて、気持ちがいいというかもぞもぞするというか、不思議な感じがします。軽いタッチで描かれる「しりこだまラプソディ」は、キャラクターも含めて話の展開も自由な感じなので、とても楽しい。

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俺も昨日トンカツ食った。

 

「しりこだまラプソディ」は、しりこだまを出した主人公のけんちゃん(表紙の子)のお母さんが化け猫で、お父さんが河童という目茶苦茶な設定も良いです。

ですが、他の作品は切ない話が多く、不妊治療をしている夫婦の話や、ひとりでいるときに、自分が死んだときの遺言を夫に語りかける話など、作者の日常生活を題材に、深く掘り下げるような作品もあります。

 

そして、古典落語を題材にした「三年目」という作品は、私これが一番良かったんですけど、もし自分が死んで夫が再婚したらと思うと死に切れないという病身の妻が、そうなったら化けて出れば再婚相手も逃げ出すからそうすればいいという夫の言葉に安心して死ぬんですね。で、実際やむなく再婚して初夜を迎えると出てこない。3年目にしてようやく出てくるんですが、その出れなかった理由を問われて答える幽霊妻のコマがすごく切ない。

落語の方を聴いてみたんですが、この最後のところは、出られなかった理由を答えてサッと終わっちゃうんですね。それをこう描くのか…と大変感動しました。

 

  

病でやつれた顔、静かに息を引き取った顔、そして最後に出てきた妻の姿を、生き生きとっていったら変なんで、情感豊かというか、艶かしいというか、その思いをあらわすように描いています。不安定ささえ感じるフォルムが、妻の揺れるたましいを描いてるようで、私の心も揺さぶられました。

 

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とにかく読んでください。

 

5年かけて1冊ということで、次いつ出るか分かりませんが、高野文子の新作のようにのんびり待つことにします。

 

 

海水よりも濃く フロンターレ−FC東京観戦記

いきなり暑くなりましたね。昨日は昼にフットサルやってそして今日もまたやったら、初めて熱中症らしきものになりました。いつもこまめにスポーツドリンク飲んでるんですけど、何か飲んだら気持ち悪いというか入ってかないんですよ。で、しばらくして頭から水かぶったら、ハッと意識が戻った感じになりまして。視界がクリアになって初めてボーッとしてたと気付きました。いやー危ない。

そんな熱中症には、対策として塩分摂取が欠かせません。ということで行ってきました等々力競技場。2ndステージ開幕戦となったタマシコ観戦です。

 

タマシコというとかつては点がバカバカ入るイメージがあったんですが、今の東京の監督フィッカデンティが守備指向なんで、味スタでGWに行われた前回は、攻め合いというより攻めるフロンターレに守る東京の展開でした。フロンターレは、序盤はボールが繋がってましたが、車屋が痛恨のレッドカードで退場して一気に流れが変わっての敗戦。それまでは東京攻め手なかったんですけどね。

東京はエースの武藤が抜け、攻めということではさらに厳しくなったと思いますが、フロンターレもかつての圧倒的なポゼッションからの攻めが徐々に影を潜めています。相手陣内でボールが繋がらないんですよ。動きもあまりないし。

ドルトムントにいいようにやられたんで、奮起を期待しつつも、ちょっと嫌な予感がしてました。塩なんじゃないかと。塩っぱいんじゃないかと。

 

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夕方には涼しくなって夕焼けも奇麗でビールも美味かったんだけどなー。

 

フロンターレは中盤に谷口、大島、ケンゴを置き、トップに入ってる大久保が自由にポジションを取って、ボールを繋ごうとします。前回酷評した谷口は頑張ってましたよ。でもちょっと球離れが良過ぎるんじゃないかとも思いましたが。大島も運動量豊富に前線へ決定的なパスを狙おうとしますが、東京が人数かけて守ってるんで、なかなかチャンスが生まれません。

中の3人は結構ポジションを入れ替えてたんですが、サイドは張り付いたままで動きがあまりないんですよね。以前はピッチの至る所で3角形を作ってボールをキープしてたと思うんですが。

一方の東京も、序盤はハイプレスで前田を中心に攻めようとしますが、その後ろにいる石川と東が全くの空気っぷりでまるで怖くないです。わずかにセットプレーで得点の匂いを感じましたが、それだけでした。

 やっぱり塩っぱい。とても塩辛い。何よりもこの2チーム、ミスが多い。ドルトムントと川崎の差は、プレーの精度だったと思うんですが、その点をどう考えているんでしょう…。

 

しかし、フロンターレは後半に入って後ろから何本かパスが繋がると、ゴール前中央で引きつけてフリーで上がってきた小宮山へ。大久保が猛然とペナルティエリアに走り込んでできたスペースに、エウシーニョがスルッと入ってマイナスのセンタリングに合わせ、ナイスゴール!

いやーこれをずっとやれればいいんですけどね。東京がハイプレスに疲れて守備が甘くなったとこを突いた感じでした。あとは双方カウンターからの攻めでチャンスを作るのみで、東京の新加入のバーンズや、中島翔哉の投入もあまり効果なく試合が終わりました。

 

まあ東京戦が塩分高くなるのは差し引いてもですね、今のフロンターレのパス回しは、昨年前半までの良かった頃に比べて全然ですよ。引っ掛けられてカウンター喰らうのが織込み済みなのか、ボールを受けてから前向いてプレーする選手が少なかったです。

ドルトムント戦で得たものって何でしょうか。正しいポジショニングで、正確に、強くボールを受け、蹴る、ということであれば、ぜひそれを極めてもらいたいです…っていうかそれ目指してたんじゃないかのよ!ってとこなんですが。かつてはそれを観ている側に感じさせてました。今のフロンターレは、風間が世間を手の平返しさせた頃の魅力がどんどん失われています。戦力からすると、この戦い方で5位以内に入れば成功した部類だと思いますが、なんか普通のチームになってきちゃったなあ…というのが正直な感想です。

ボーッとした頭にガツンとくるような、2ndステージはそんな戦い方を期待してます!

 

arthur colney 'sweet soul music' ちなみに私は辛党かつ甘党です。

俺はまだ死んでないぜ

なでしこ凄いな…感心することしきりな今日この頃です。一番感心するのはあの一体感、統率力。あれだけの運動量で、やらされてる感が全くないです。女子、真面目。そしてその上でズー。BBCお通夜状態でバックに流れるズー。世界を勝ち進むチームは違う。感じ入りました。

 

 choo choo train 'the briar rose' チューチュートレインったらこっちなんです。絶対パクってる。

 

さて、前回は他チームと合併して生き残ろうとした話でしたが、結果どうなったかというと、ウチのチームは毎練習5人は出せそうで、単体でも試合に出れる目処が立ち、合同練習をオファーしたチームも快く受けてくれて、早速練習をやったところです。

オファーはプレー後に双方のチームのメンバー何人かで飲みながらさせてもらったんですが、月1回2時間、練習内容はこちらにおまかせということで合意しました。いやー良かった。これで練習環境は確保できました。

初の合同練習は、向こう7人なのにウチは何とか5人揃えてなんで、ちょっとやる気が見せられなくてアレでしたが、予想以上に熱心に取り組んでくれました。ホント久々に実戦形式で練習ができて、それだけでも嬉しかったんですが。ロンドモービルなんかのウチの練習方法に戸惑ってましたが、こちらに合わせて熱心にやってくれて、非常に良い雰囲気でした。

練習の成果というと、攻撃は簡単にはいきませんが、守備はピヴォからプレスにいって連動して行う、という基本的なところを押さえるだけでも違いがはっきり出るので、手応えを感じてくれたようです。ウチのチームにとっても久々メンバーがいたりしたんで、動きを再確認する良い機会となりました。

練習後は相手のチームの飲み会に顔を出して、練習のリアクションを探りつつ、親交を深めてきました。大分仲良くなったというか、すでにメンバーのような感じになってしまっているんですけど、ウチのチームを受け入れてくれたのも、こうした人間関係からだと思います。今まで足繁く参加して良かったなとしみじみ思いました。

 

ところでウチのチームなんですが、合併オファー前に意思確認して、練習出て大会出る人と、年数回のイベントのみ参加の人に改めて分けました。前はちょっと曖昧だったんですが、今度からは練習出ないと試合にも出さないと明言し、それで集まらなければもう俺は移籍してしまうぞくらいの勢いで問い質したんですよ。

1人碌に返信もよこさない練習も出ない、けど試合は出て得点決めるメンドくさいストライカーがいまして、ちょっと特別扱いしてたんですが、これからは違うぞと勢い込んで説得に向ったんですよ。「いいか、レベルの違うメンバーの練習に付き合うのは確かにタルいかもしれない、でもな…」などとシミュレーションしてたんですが、そしたら次練習いつですか?とか訊いてきたんで拍子抜けでした。結局、練習出ると言ってきたメンバーは2桁に届きました。

合同練習後の別な日に、チーム単独で練習したら実際人が増えてたんで、合併話は良いきっかけになったと思います。これからは助っ人なしに、地に足着けて強くなるぞと思った次第です。それにしても…なでしこ羨ましい。

 

真心ブラザーズ「明日はどっちだ!」 ちなみに私、顔がYO-KING似と言われます。(声のが良かったんですが…)

 

ヴェンデラ・ヴィーダ「行く先は晴れやかに あるいは、うろ覚えの詩が世界を救う」を読む

歳のせいなのか、インターネットの影響なのか、長時間集中して何かを読んだり観たりというのが難しいこの頃です。せわしなくクリックやスワイプするように、ちょっと怠くなると本を放り出し、再生機器の停止ボタンを押し、といった具合に。

もちろん、早く先が読みたくなるような素晴らしい本がないわけではなく、ついこないだ読んだスディール・ヴェンカテッシュの「ヤバい社会学」は、社会学というより80年代アメリカの貧困地域を舞台にした優れた青春小説といった方が良く、久々に一気に読めました。

 

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装幀もっと頑張れなかったのか…。

 

その勢いのまま次に読んだのは、ユニークな邦訳タイトルが目を引く、ヴェンデラ・ヴィーダの「行く先は晴れやかに あるいは、うろ覚えの詩が世界を救う」でした。

 

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原題は'and now you can go'とストレート。

 

ニューヨークで大学院に通う21歳女子の話です。一緒に死んでくれと、見知らぬ男に公園で銃を突きつけられるところから始まります。彼女は、男の気をそらすために、必死に詩を暗誦したりして何とか難を逃れますが、その事件の影響で精神状態が不安定になり、それにつけ込もうとする男が寄ってきたりします。

この小説は、主人公の一人称で描かれていて、彼女が感じる不安や苛立ちを挟みながら、登場してくる彼氏や元カレ、友人、家族たちと会っている場面や、過去の回想で成り立っています。主人公は、勉強ができて、ルックスも良いことが示唆され、そのおかげで何人もの男が現われます。彼女は気ままに彼らと付き合い、彼女の精神状態も相俟って自由に場面が入れ替わっていくので、その後特に事件があるわけでもないのに、テンポ良く読めていけます。

彼女の精神的な不安定さは、事件のせいではなく、幼少期の体験や、彼女自身の資質のせいであることが分かってくるのですが、彼女は看護師である母親とボランティアでフィリピンに行って、白内障患者の手術をする手伝いをしたことをきっかけに、それを乗り越えていきます。

21歳女子の主観から描いた物語なので、40代半ばのおっさんからすると、なかなか共有できない部分もあるかと思いきや、最初は客観的に読みつつも、銃の男との再会の場面ではドキドキしながら読んで、ラストも感動しました。

場面の切替えのテンポが、小説というより、ちょっと映画とかTVドラマっぽいなと感じましたが、そこが読み進められた原因かもしれません。冒頭からしてちょっとオフビートな感じで、最初読んでるときはどういう小説かなと思いましたが、最後まで読むと、無駄な部分がなく、しっかりとした構成であることが分かります。

2003年邦訳の作品ですが、残念ながらヴェンデラ・ヴィーダの小説はこれ以降日本では出版されていないようです。あと2作書いてるようで、ぜひ読んでみたいです。

 

 

 

 

ビルボードでKIRINJIを観る

行ってきましたビルボードライブ。24日の1部の方です。ビルボードは1年振りくらいで、そのときもサッカーのW杯やってたんですよね。男子ですけど。残念だった男子と違って、今回女子は順調に(劇的に!)勝ち進んでいますが、初鑑賞から1年経ったKIRINJIはどうなりましたでしょうか。

 

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スタート時はまだ外が明るくてカーテンが開いていて、それはそれで趣があった。

 

ビルボードだけあって、一見して簡素なセット、特にドラムの数が少ないことに気付きます。叩く人は2人いたんですが、シンプルなドラムセット。落着いた感じでやるのかなと思ったら、その通りでした。

曲は「11」の曲を中心にアンコール含めて12曲。「Ten」からは演らないのか…と思いつつもアレンジを思い切り変えてて、楽しめました。「DODECAGON」のツアーで「雨は毛布のように」をジャズっぽく、テンポというかリズム変えてやったことありましたよね。あんな感じです。

序盤、雲呑ガールがしっとりとした感じで面白かったですが、4曲目のビートルズのカバー「your mother should knows」まではちょっとまとまりがなかった気がします。your mother...は弓木英梨乃がボーカルだったんですが、意外性の割にはイマイチでした。彼女には伸びやかな声質が生きる曲を歌わせる方が良いのではないでしょうか。

ちなみにイントロで珍しく田村玄一が間違えていったん止めたりしたんですが、後半もリーダー高樹が歌い始めを間違えたりと、ふわっとした感じがありました。まあ肩の力が抜けてきた副作用ですかね。ミスはあっても1年前と比べて明らかにバンドの一体感はありました。

それが発揮されるのが、坂本真綾のカバーで「うちゅうひこうしのうた」だったんですが、気合の入った全員のコーラスで素晴らしかったです。そして、全体を通してリズム隊は終始安定というか、上手さが際立つプレイぶりで、特にベースの千ヶ崎学はウッドベース1本で芸達者ぶりを魅せていました。この曲から演奏がのってきます。

最も元のアレンジと違ってた「ONNA DARAKE!」では、楠均がマラカスでシンバルを叩きながらの熱演でしたが、個人的にはアルバムバージョンの方がこの曲は…という「へー」とか「ほう」とかいいながらの本編終了。

アンコール1曲目はニューシングル「真夏のサーガ」で、冬に夏の曲を書くのが大変だったといいつつ、正に夏の草原を思わせる開放感にあふれた曲でした。そして、最後の曲となったカップリングの「水郷」は、田村玄一のウクレレと、コトリンゴのピアノが絶妙のハーモニーを奏で、至福のときを味わえました。

 

安定してますね、KIRINJI。早くアルバム出ないかなと思うんですが、こっからどう行くのかな、という気もします。新曲はこれまでの延長線上にあるような曲だったので、また何か面白いことしてくれないかなと、期待を抱いています。

ケンゴ依存症 フロンターレ−ベルマーレ観戦記

ああ、なんとか勝った…。こないだのタマシコ含め、観に行った試合は勝ててなかったんですが、やっと勝ち試合を観ることができました。

当日朝録画して観たCL決勝が熱い試合で、誰もが考えていただろうポゼッション対カウンターの試合展開は、奇襲作戦のようなユーヴェのプレスがかわされ、バルサの先制点が入ってしまったときに勝敗は決していたかもしれませんが、にもかかわらず、いやだからこそ、ユーヴェの気迫のこもった攻めが見られて、最後まで手に汗握る戦いでした。

そんな下手にテンションが上がったまま行ってしまった等々力競技場。同じようにポゼッション対カウンターの対戦ですが、比べるのはかなり無理がある内容で、しかも湘南が勝つべき試合でした。そんなでしたが、見どころをいくつか。

 

 

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西日が…眩しい。しかしケンゴだらけ。

 

まずは代表に選出された谷口です。合宿に呼ばれるなり活躍し始めた健勇は落選し、大久保も選ばれませんでしたが、意外にもチーム唯一選ばれたのは谷口でした。この日の先発は、レナト小林悠、中村、大島、角田、西部を欠く布陣。杉本と船山が先発というレア感満載の見慣れない前線に、その谷口が中盤に入ります。

 

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何があって「そうだ」?

 

ケンゴはコンディション悪かったみたいですね。しかし、それは谷口にとって飛躍のチャンス。思う存分革命を起こして、代表にも堂々と乗り込んでもらいたいところです。最近守備のミスが目立ちましたが、必死でやってるのは伝わってきてます。ぜひとも自身を含め、チームの悪い流れを断ち切ってもらいたい。

んがしかし。

しっかりブロックを作って対応する湘南に、パスコースが見つけられず、後ろと横に預けるばかり。たまに前線にズバッと出すと、ズバッとカットされて一気にカウンターを食らいます。

どんどん消極的になってましたね…。谷口自身の経験の無さがあったとは思いますが、周りももらう動きが少なかったです。あと気になったのはパススピードが遅いこと。余裕で対応されてました。

相方が森谷のときは、まだ落着いてる分いいよな、と思っていましたが、ケンゴが出てくると、それが単にどうしたらいいか分からなかったから、という風にしか見えませんでした。

 

ケンゴ(よし、フリーだ。お前に預けるぞ)→谷口(ケンゴさん、どうぞお返しします)→ケンゴからの展開そしてチャンス…。ケンゴは良いとこにパス出してましたね。サイドに出すときは、ディフェンスの間を抜けて味方が追い付くくらいの緩いパスをスペースに出して押し上げさせ、前線に当てるときは、味方がディフェンスの間に入ったところを素早く狙います。

味方が動くようになるパスっていうんですかね。とにかくケンゴが入ったらポンポンボールが繋がってあっという間に追い付きます。ケンゴと周囲との信頼関係もあるんでしょうが、谷口は複雑だったでしょうね…。でも頑張れ。素晴らしいお手本が近くにいるんだから。

 

そしてもう一つは物議を醸した幻のゴール。私比較的ゴール近くの横から観てたんですが、菊池のミドルシュートクロスバーに当たり、ボールは角度的に入ったように見えました。でもあろうことかまた元の方向に向かってバウンドしたため、後ろから追ってきた審判には非常に分かりづらかったと思います。

隣で観ていた知人は入ってないように見えたそうで、何とも微妙な判定ですが、ベルマーレの曺監督言ってたように、判定できるシステムを入れるべきだと思います。この1点が入っていればベルマーレの勝ちだったでしょう。

 

フロンターレは負ければ順位が入れ替わっていたところでした。しかし、以前のショートパスを繋ぐサッカーは何処へ行ってしまったんでしょう。中断期間に修正されているといいんですが…。いずれにしてもケンゴが頼られ過ぎていて非常に不安を覚えた試合でした。

 

bill withers 'lean on me' 頼るな。

 

物語を輝かせるもの キリンジ「悪玉」と口ロロ「TONIGHT」を聴く

梅雨が間近いようですが、良く晴れた先週末は公園まで走りに行って、ひっくり返るための木陰を探してふと上を向いたときに、それは桜の樹だったんですが、たわわに実がなってたんですね。サクランボとは違うスリムなシルエットですが、ダークチェリーと同じ色したその実がとても美味しそうで、直感的にこれは喰える!と思い、若干の不安を覚えつつ、水道の水で洗って食べました。美味しかったです。

 

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後日写真撮りに行きました。収穫してる人がいました。

 

思わぬ味覚に喜んでいると、スズカケノキの果実は食えない、というキリンジ兄(当時)の歌詞が思い出されたんですが、ついでに思い出した私の好きな曲についてお話ししようと思います。

 

キリンジの「悪玉」(と書いてヒールと読むぜ)は、兄弟での旧キリンジ最後のライブで最後に演奏した曲です。人を食ったような、そしてなぜか癖になるような曲調もさることながら、プロレスのヒール役という題材がいかにもキリンジらしく、きっと好きな人が多いことと思います。

 

 さあみなさんご一緒に!

 

「破壊の神シヴァよ血の雨を降らせ給うれ」「マイク寄こせ早く」といったポップソングらしくないフレーズが散りばめられていますが、言葉の意味に反して、独白調に地味に歌われ、なんてヒネたキリンジ兄(当時)らしい曲だと思うわけですが、この曲の歌われている世界、随分浪花節じゃないでしょうか。

虐げられた二流のレスラーが、自由を求め、息子の笑顔を求め、悪役という役割を放棄し、勝利する…。ヒネてない。ヒネてないですよね。プロモーターが席を立ち、罵声が渦巻く中に息子の無垢なる笑顔を見出だすラスト。ダメ親父が子供に良いとこ見せたいがために頑張る姿は映画「チャンプ」のような、普通に感動的な物語のようです。

それはそれで面白いどんでん返しなんですが、何か普通じゃないかとも思うわけです。でもそこはさすがキリンジで、「マイク寄こせ早く」が、最後にもう一度出てくるところで、このクライマックスがしがないレスラーの夢想であることを暗示します。そのための独白調、そのための物憂げな曲調だったのかと気付かせます。

しかし、曲は「無垢なる笑顔」に向けて、微妙ですが確かに盛り上がっていきます。夢想であるにせよ、いやむしろだからこそ、その世界が輝かしいものとして描かれていて、それがこの曲の魅力なんだと思います。

 

もう1曲、普通の感動的な物語が素晴らしく感動的になっている曲をご紹介します。

 

口ロロ 「TONIGHT」 大木さんの声が好きでした。

 

確かなポップセンスをベースにしつつも、そのスタイルはさまざまに変化する口ロロですが、私は初期のバンドっぽかった頃が好きです。といっても知ったのはデビューから大分経った頃で、「このファンファーレというアルバムはなかなかいいなあ」などと思っていたら、この曲が出て衝撃を受けました。

生きるのが辛くなった若者が自殺をするんですが、思い直して生き返ろうとする様を描いています。こう書くとありふれた題材なんですが、「死んでみた」で始まる歌は、ポップソングとしてはなかなかないでしょう。

そして壮大なオーケストラ風アレンジが縦横無尽な感じで先が読めず、ただ、「どうなるんだろう」と思いつつ聴いていると、最後には非常にポジティブな気持ちになっています。そうだ俺もまだルーレットでゴレイロかわしてゴールしたことないし、試合でエラシコ使ったことないし、キリンジNHKホールライブのブルーレイ未だに観てないし、エロ動画も消してねえしっていうか消したくねえし。死にたくない。

自殺した彼が三途の川で聞く話は、どれも陳腐といってもいい内容で、君は?と問い返されて思い直すのもどうなんだよと思いますが、口ロロは曲のパワーで圧倒することで説得力を持たせます。そして、ボーカルの声、キレの良さ、メロディで聞き手にシンパシーを抱かせ、2回目のサビで「さよならTONIGHT」が「さよならじゃない」に変わるところが凄く感動的に聴こえます。帰ってみんなにキスしたい、そんな気持ちにさせます。

 

ということで、音楽っていいなあという身も蓋もない感想も、こうした曲を聴くと改めて納得していただけるのではないでしょうか。