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boofoooohの日記

サッカー/音楽/本/大人になってからのフットサル

空気を読まない審判に花束を

サッカー

先月からユーロの予選が始まり、今節はポーランドがドイツを破って盛り上がりを見せてますね。ライアン・ゴールドが代表入りしたスコットランドは同じグループなんですけど、グルジア(ジョージアなんですかね今は)には勝ちましたが、アイルランドも一緒なんで、ちょっと厳しいですね。
ライアンはグルジア戦にベンチ入りできなかったようです。まだ18歳だし、スポルティングではBチーム所属なんで、まあ当たり前かもしれませんが、予選後半に出てきて大活躍してチームもプレーオフを勝ち抜く…とかなったらいいなあと思う日曜日の午後です。

さて、今年のサッカーの話題といえばワールドカップの年なんで、ブラジルの歴史的大敗がインパクトあったと思いますが、開幕戦のPKも結構な話題になりましたよね。今回は審判の話です。

 

西村主審の判定は一部で誤審などと叩かれましたが、大会の基準として相手を掴む行為はファウルを取るということを事前に決めてあったということが分かって、何となく収束した感があります。ペナルティエリア内でボールを持ったフレッジがシミュレーション気味に倒れたのを、ディフェンスのロブレンが倒したと判断したと思った人が大勢いたわけですが、その前の両手で掴んでる段階でファウルを取ってたんですね。

 

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しかし、この判定より前、というより未だに、日本の審判は流せばいいのにいちいちファウルを取りやがってレベルが低い、もっと試合の流れを読めよ、厳しく取るところと取らないところがあるだろ(超盛り上がってる試合で競ってる展開なのにつまんねーファウルでPK取って試合決めるなよ)、だから国際的な評価が…などと上から目線の意見を言う人がいまして、私がそうだったんですけど、それってどうなんだろと思ったんです。

きっかけはこの本でした。

 

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ビアス・J・モスコウィッツ/L・ジョン・ワーサイム「オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く」 調子が良いとかいうのは偶然だから…なんて話もあってこれはすごい。またネタにします。

 

 この本、相当面白いんですが、第1章で、審判が「ホイッスルを飲み込む」、つまり本当は笛を吹くべき場面なのに、笛を吹かない(正しい判定をすると試合に大きな影響を与えるときにかかる不作為バイアス)事象を取り上げてます。
例えば野球のストライク/ボールの判定で、どのカウントで誤審が多いかを調べています。3ボール・ノーストライクなら際どいコースにいっても67.6%は正しくストライクと判定されますが、ノーボール・2ストライクなら31.5%に落ち込みます。全体だと49.9%なんですけどね。

ほかにはNBAやNHL(サッカーもあるそうですよ)で競った試合で終盤に取られるファールが減ることや、さらにはNBAでファウルアウトしそうなスター選手と無名の選手がルーズボールを競ったときに、圧倒的に無名の選手がファウルを取られたりなんてのも調べてます。

重要な場面での自分の判断が間違いかもしれないなら、判断するよりしない方がまし、と考えてしまうのは人間誰でもそうなので、理解はできるところなんですが、それを、「審判は試合に介入すべきじゃない」という一見正しいフレーズで正当化するのはどうなんでしょう。

誰もが審判引っ込んでろと思ってる中で、正しい判断をすることの難しさが書かれているのですが、だからこそ、そうした正しい判断することの勇気をこの本は評価しています。
2009年のテニスUSオープン女子準決勝、あと2ポイント取られると負けるセリーナのセカンドサーブの場面で、フットフォルト(サーブのときにラインを踏む)を取った話がこの章のクライマックスです。この審判はセリーナの罵詈雑言(これが原因でさらにポイントを取られ敗戦)にも、スタジアムの罵声にも、解説者の不評にも、その後左遷に近い扱いを受けるにもかかわらず毅然とフォルトを告げます。「ルールはルールだから」。

本で受ける印象と違いましたね。もっとか弱い感じと思った。

 

確かに、こんな判定によって決着がつくことは誰も望んでいませんでしたが、試合を壊したのはフォルトしたセリーナであって、それを判定した審判ではないですよね。このフォルトを取らなければ、相手のクライシュテルスは不正にポイントを失うことになるのに、それを見逃せと言えるでしょうか。通ぶった態度で、「そこはファウル取っちゃダメだろー」なんて言ってた自分が恥ずかしくなりました。

この本は、審判についてほかにも、ホームチームが有利なのは審判に心理的なバイアスがかかるからという話が出てきます。観客が多いほど、観客席が近いほどバイアスはかかるそうですよ。選手じゃないんだ。

 

改めて帰国後の西村雄一のインタビューを読んでみたんですが、あの場面での判断や、彼の「見えてしまったものに対して正直に対応しないと、選手のためにならない。(今回の開幕戦のPKの判定は)世の中に受け入れられない結果になってしまいましたけれど。」という発言の重みを感じました。

 

ごめん、審判の人。俺間違ってた。